109B59

次の文を読み、59~61の問いに答えよ。
78歳の女性。右利き。会話が困難になったため搬入された。
現病歴:今朝、食事中に会話のつじつまが合わないことに家族が気付き、改善がみられないため救急車を要請した。昨夜の就寝までは異常はなかったという。
既往歴:50歳時の健康診断で耐糖能異常を指摘されたがそのままにしていた。
生活歴:息子夫婦と3人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:両親ともに高血圧。父親が脳出血で死亡。
現症:意識は清明。身長148cm、体重43kg。体温36.1℃。脈拍104/分、不整。血圧152/74mmHg。呼吸数16/分。過剰心音と心雑音とを認めない。呼吸音に異常を認めない。発語は流暢であるが、錯語がみられ、言語理解が悪く、物品呼称も障害されている。復唱は可能である。読字は困難で、書字は可能であるが文意がとれない。構音障害を含め脳神経に異常を認めない。四肢の運動系と感覚系に異常を認めない。腱反射は正常で、Babinski徴候は陰性。
検査所見:尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球412万、Hb 12.1g/dL、Ht 40%、白血球6,300、血小板20万、PT-INR〈prothrombin time-international normalized ratio〉1.09(基準0.9~1.1)、APTT 24.3秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン306mg/dL(基準200~400)、Dダイマー2.2μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.5g/dL、AST 26U/L、ALT 18U/L、LD 232U/L(基準176~353)、血糖138mg/dL、HbA1c 6.6%(基準4.6~6.2)、トリグリセリド154mg/dL、HDLコレステロール38mg/dL、LDLコレステロール143mg/dL。12誘導心電図で心房細動を認める。胸部エックス線写真で心胸郭比52%。心エコー検査で左室壁運動は良好で、弁膜症を認めない。頸動脈エコー検査で左右とも有意な狭窄を認めない。頭部MRIの拡散強調像(A、B)を別に示す。同時に行った頭部MRAに異常を認めない。
この患者の失語はどれか。
全失語
伝導失語
Broca失語
Wernicke失語
超皮質性感覚失語

解答: e

109B59の解説

高齢女性に突如発生した失語。画像A, Bで左頭頂葉に高信号を認めており、脳梗塞の診断となる。心電図で心房細動を指摘されており、心原性脳梗塞であろう。
a・c 発語が流暢であるため、否定的。
b・d 復唱ができており、否定的。
e 正しい。超皮質性感覚失語は復唱が保たれるWernicke失語と考えてよい。

正答率:75%

テーマ:【長文1/3】脳梗塞でみられる失語

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