108I70

42歳の女性。「風邪がいつまでも治らない」と訴えて来院した。2週前から微熱が出始め、その後38℃程度まで上昇、同じころから「のど」も痛くなり、寝るのもつらいほどだという。以前、風邪で処方された鎮痛薬を飲んでみたが改善しなかった。既往歴と生活歴とに特記すべきことはない。体温38.5℃。脈拍84/分、整。血圧122/80mmHg。前頸部で気管の左外側に圧痛を認める。咽頭に発赤と腫脹とを認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球420万、Hb 13.5g/dL、Ht 39%、白血球8,000、血小板19万。血液生化学所見:TSH 0.02μU/mL(基準0.2~4.0)、FT4 3.3ng/dL(基準0.8~1.7)。免疫血清学所見:CRP 5.5mg/dL、抗TSH受容体抗体陰性。頸部超音波検査で疼痛部に一致した低エコー域を認める。
治療薬として最も適切なのはどれか。
抗菌薬
β遮断薬
無機ヨード
抗甲状腺薬
副腎皮質ステロイド

解答: e

108I70の解説

「のど」とあえてカッコつきで示されているのが本問のユニークなところ。患者にとっては「のど」であっても、医学的には咽頭でないことも多々あるので気をつけよう、という出題者のメッセージを感じる。2週前から感冒症状があり、その後「のど」の痛みが出現した。前頸部に圧痛があり、TSH低下とFT4上昇(甲状腺機能亢進症)がみられる。頸部超音波検査で疼痛部に一致した低エコー域があることから、亜急性甲状腺炎が考えやすい。
a 亜急性甲状腺炎の原因はウイルス感染である。
b β遮断薬は甲状腺機能亢進症全般に有効。ただし、本患者では頻脈など典型的な症状がみられず、効果に乏しいことが予想される。
c・d Basedow病に有効。
e 正しい。亜急性甲状腺炎の第一選択である。

正答率:61%

テーマ:亜急性甲状腺炎の治療薬

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