108G56

21歳の女性。1か月持続する発熱と右頸部リンパ節の腫大とを主訴に来院した。1年前にも同様の症状があり軽快している。これまでに性感染症の既往はない。体温38.2℃。脈拍80/分、整。血圧120/62mmHg。皮膚に発赤など所見を認めない。右頸部に圧痛を伴う径1~1.5cmの軟らかく可動性のあるリンパ節を4個触知する。他の部位にリンパ節を触知しない。口蓋扁桃の腫大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球442万、Hb 12.9g/dL、Ht 39%、白血球3,250(桿状核好中球14%、分葉核好中球37%、好酸球2%、単球10%、リンパ球37%)、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン4.7g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 19U/L、ALT 22U/L、LD 255U/L(基準176~353)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 1.0mg/dL、VCA IgG抗体1倍(基準10以下)、VCA IgM抗体1倍(基準10以下)、抗核抗体8倍(基準20以下)。胸部エックス線写真に異常を認めない。頸部リンパ節生検ではリンパ節組織は傍皮質を中心に境界の比較的明瞭な壊死とマクロファージの浸潤がみられる。
最も考えられるのはどれか。
HIV感染症
悪性リンパ腫
伝染性単核球症
亜急性壊死性リンパ節炎
全身性エリテマトーデス〈SLE〉

解答: d

108G56の解説

国試史上初めて出題された疾患であるが、本文から丁寧に消去法を使えば正答へたどり着くようにできている。配慮された教育的良問。
a 性感染症の既往がないため、HIV感染症は否定的。
b リンパ節生検で腫瘍細胞がみられておらず、悪性リンパ腫は否定的。
c VCA IgM抗体やVCA IgG抗体が上昇しておらず、伝染性単核球症は否定的。
d 正しい。亜急性壊死性リンパ節炎〈菊池病〉は若年女性に多く、白血球(主に好中球)が減少する。病理所見も合致する。
e 抗核抗体が陰性であり、全身性エリテマトーデス〈SLE〉は否定的。

正答率:85%

テーマ:亜急性壊死性リンパ節炎〈菊池病〉の診断

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