108F30

次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
50歳の男性。便秘と下痢とを繰り返すことを主訴に来院した。
現病歴:3週前に下痢を自覚し、その後腹痛を伴う便秘を数日おきに繰り返している。自覚するほどの発熱はない。便の色については普段からよく見ていない。飲食物や環境に特別の変化はない。過去に同様の症状はない。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:公務員。喫煙歴はない。飲酒は焼酎1合/日を30年間。海外渡航歴はない。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長174cm、体重72kg。体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧118/72mmHg。呼吸数16/分。皮膚は湿潤。顔色は良好である。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内の乾燥を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で静脈怒張を認めない。腸雑音はやや亢進している。触診では抵抗を触れず、肝・脾を触知しない。下腹部正中やや左側に直径約4cmの弾性硬の腫瘤を触れる。腫瘤表面は凹凸不整で可動性があり、圧痛を認めない。直腸指診で粘血便を認める。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球8,300、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.9mg/dL、血糖98mg/dL、総コレステロール246mg/dL、トリグリセリド190mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 1.0mg/dL。
腫瘤性病変の原因として考えられるのはどれか。
腹壁腫瘍
腸管内ガス
消化管腫瘍
炎症性腫瘤
重積した腸管

解答: c

108F30の解説

便秘と下痢とを繰り返す中年男性。自律神経失調や過敏性腸症候群も頭をよぎるが、「下腹部正中やや左側に直径約4cmの弾性硬の腫瘤を触れる」「腫瘤表面は凹凸不整」「直腸指診で粘血便」といった記載から大腸癌を考えたい。
a 腹壁腫瘍であれば可動性をみない。
b 腸管内ガスであれば凹凸不整とならない。
c 正しい。上記の通り。
d 炎症性腫瘤では発熱や腹部の圧痛をみる。
e 腸重積では凹凸不整とならない。また、嘔吐など腸閉塞症状をみる。

正答率:81%

テーマ:【長文1/2】消化管腫瘍の診断

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