108F17

20年前、機械工場から化学物質が大気中に流出した。直後から地域で気管支喘息様の症状を訴える者がみられたが、一時的な流出で数か月後には症状を訴える者はいなくなった。当時の調査では、個人の曝露量と急性の気管支喘息様症状の有病率とに相関が認められた。最近になって、この物質に曝露すると3年後から肝臓の悪性腫瘍による死亡率が増加することが報告された。このため、所管する地方自治体が周辺住民への健康影響を再評価することとなった。当時の個人の曝露量の情報は役所に保管されている。
新たに着手する調査について適切なのはどれか。
当時の情報は破棄する。
調査の着手について公表しない。
地域の肝臓の悪性腫瘍による死亡率を調べる。
現在の工場周辺の大気中の化学物質濃度を測定する。
死亡者の遺族からインフォームド・コンセントを取得する。

解答: c

108F17の解説

a 隠蔽に該当する。
b 隠密に調査を進行するのは望ましくない。
c 正しい。まずはデータ収集を行い、客観的な分析を進行させる。
d 流出から20年が経過しており、現在の大気中に化学物質は浮遊していない可能性が高い。
e 死亡者の人権にはむろん配慮が必要だが、すでに収集された保管資料を使っての観察研究であるため、遺族からのインフォームド・コンセントは必須ではない。

正答率:89%

テーマ:有害化学物質流出の健康影響の再評価で着手すべき調査

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし