108E42

30歳の男性。腹部疝痛を主訴に来院した。3週前から全身倦怠感があり、その後、悪心、便秘および食欲不振を伴うようになった。本日、作業中に腹部に刺すような痛みを感じたため受診した。患者は、3か月前から古い塗装された鋼材のガス溶断の作業を行っている。腹部は平坦で、臍周囲に圧痛を認める。腹膜刺激症状を認めない。便潜血反応陰性。血液所見:赤血球414万、Hb 10.7g/dL、Ht 34%、MCV 81.1fl、MCH 25.8pg、MCHC 31.8g/dL、網赤血球1.0%、白血球5,800、血小板22万。
異常値を示す可能性が高いのはどれか。
血清Fe
血清葉酸
尿中メタノール
血中メトヘモグロビン
尿中δ-アミノレブリン酸

解答: e

108E42の解説

「古い塗装された鋼材のガス溶断の作業」という記載だけから何の中毒か判別するのは至難の業。1つ1つの選択肢を吟味し、消去法でのぞむこととなろう。唯一ヒントとなるのは、Hb 10.7g/dlとやや貧血があること。MCVを計算するに、82.1と正球性貧血がみられる。
a 鉄欠乏では小球性貧血をみる。
b 葉酸欠乏では大球性貧血をみる。
c 尿中メタノールが増加するのはメタノール中毒。視力障害がみられる。
d 血中メトヘモグロビンが増加するのは、メトヘモグロビン血症。異常ヘモグロビンの出現により、酸欠症状を呈する。
e 正しい。鉛中毒では腹部疝痛と貧血がみられる。また、尿中δ-アミノレブリン酸が増加する。

正答率:83%

テーマ:鉛中毒で異常値をきたす指標

フォーラムへ投稿

関連トピック