108D59

39歳の女性。全身倦怠感を主訴に来院した。10日前から倦怠感が出現し、増強してきたという。35歳の第1子分娩時に輸血歴がある。分娩後も無月経が持続している。2か月前に、職場での健康診断を契機に甲状腺機能低下症と診断され、自宅近くの診療所でサイロキシン補充療法が開始されている。家族歴に特記すべきことはない。身長154cm、体重48kg。脈拍76/分、整。血圧104/70mmHg。顔面の表情はやや乏しく、顔面を含め全身の皮膚の色調は白い。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫を触知しない。浮腫を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
異常がみられる可能性が高いのはどれか。3つ選べ
K
Na
血糖
白血球分画
クレアチニン

解答: b,c,d

108D59の解説

第1子分娩時(輸血歴あり)以降の無月経があることから、大量出血による下垂体前葉壊死により惹起されるSheehan症候群を考えたい。全身の皮膚の色調が白いのはACTH分泌低下によるものであろう。TSHも分泌されないため、甲状腺機能低下症と診断されている。
a ACTHシグナルにより分泌される副腎皮質ステロイドも、鉱質コルチコイド作用(アルドステロン作用)を微細にもつも、K代謝の大部分はR-A-A系による。ゆえにSheehan症候群単独ではKの値に大きな変化はみない(107D9-cでも同様の知識の出題あり)。
b・c 正しい。ACTH分泌低下により、副腎皮質由来のコルチゾールが低下する。これにより、Naと血糖値が低下する。
d 正しい。コルチゾールのもつ好中球遊走阻止能が低下することで、好中球の減少と好酸球・リンパ球の増加がみられる(白血球数は全体として減少)。
e 腎機能低下はみられない。

正答率:51%

テーマ:Sheehan症候群でみられる異常値

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