108D57

68歳の男性。健康診断で肺野の異常陰影を指摘され精査のため来院した。身長175cm、体重71kg。体温36.7℃。脈拍64/分、整。血圧134/68mmHg。呼吸数12/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球410万、Hb 13.1g/dL、Ht 37%、白血球5,700、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.7g/dL、AST 37U/L、ALT 31U/L、LD 126U/L(基準176~353)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 109mEq/L、Ca 9.2mg/dL。CRP 0.2mg/dL。呼吸機能検査所見:%VC 83%、FEV1% 74%。肺野条件の胸部CT(A)と腹部造影CT再構成三次元画像(B)とを別に示す。
治療法として適切なのはどれか。2つ選べ
放射線治療
右腎摘出術
分子標的薬の経口投与
選択的右腎動脈塞栓術
シスプラチンの点滴静注

解答: b,c

108D57の解説

画像Aにて両肺野に多発する円形の陰影がみられている。また、画像Bにて右腎の下半分に境界不整な腫瘤影がある。腎細胞癌〈RCC〉の肺転移が考えやすい。
a RCCは腺癌であり、放射線感受性は低い。
b 正しい。腎摘出が第一選択となる。
c 正しい。肺転移例では分子標的薬(スニチニブ・パゾパニブ・テムシロリムス)やサイトカイン(IFN-α・IL-2)が有効。
d volume reductionはできるかもしれないが、bの方が効果的。また、画像Bをよくみると、腫瘍には右腎動脈以外からも栄養血管が出ており、右腎動脈単独の塞栓は意味がなさそうに思える。
e シスプラチンはRCCに無効。

正答率:61%

テーマ:肺転移した腎細胞癌〈RCC〉の治療法

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