108D53

38歳の女性。健康診断で高血圧を指摘され来院した。数年前から高血圧を指摘されていたが、時に頭痛や動悸がする程度だったのでそのままにしていた。家族歴に高血圧症や糖尿病はない。身長154cm、体重49kg。脈拍72/分、整。血圧172/110mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、血管雑音は聴取しない。尿所見:蛋白(±)、糖(-)。血液所見:赤血球430万、Hb 13.4g/dL、Ht 38%、白血球4,300、血小板18万。血液生化学所見:尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 144mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 98mEq/L。心電図で軽度の左室肥大所見を認める。胸部エックス線写真に異常を認めない。
次に行うべき検査はどれか。2つ選べ
腹部単純CT
MIBIシンチグラフィ
MIBGシンチグラフィ
選択的副腎静脈血サンプリング
血漿レニン活性/アルドステロン濃度比測定

解答: a,e

108D53の解説

若い女性の高血圧(172/110mmHg)であり、粥状硬化病変によらない原因を探す必要がある。「時に頭痛や動悸」という記載からは褐色細胞腫の可能性もある。腹部に血管雑音を聴取しておらず、腎血管性高血圧は否定的。基準値内ではあるも、Naがやや高めで、Kがやや低めであるため、アルドステロン症の可能性は否定できない。なお、左室肥大は後負荷が増加しているためであり、代償にすぎない。
a 正しい。褐色細胞腫であっても原発性アルドステロン症であっても副腎に腫瘍がみつかるはずである。褐色細胞腫であった場合、造影は禁忌となるためあえて「単純」と示してある。
b MIBIシンチグラフィは心筋や副甲状腺の評価に用いる。
c △。たしかにMIBGシンチグラフィは褐色細胞腫に有効なのだが、かなり特異度の高い検査であり、もう少し検査前確率を上昇させてから行うべきといえる。
d △。たしかに選択的副腎静脈血サンプリングは原発性アルドステロン症に有効なのだが、かなり特異度の高い検査であり、もう少し検査前確率を上昇させてから行うべきといえる。
e 正しい。アルドステロン症の鑑別(原発性・続発性・偽性)の診断に有用。褐色細胞腫ではレニン活性もアルドステロン濃度もともに上昇する。
※内分泌疾患の鑑別のみならず、その検査特性と、さらには公衆衛生的な考え方も要求される難問。

正答率:60%

テーマ:原発性アルドステロン症疑いの患者に行う検査

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