108D20

8歳の男児。学校へ行きたがらないことを主訴に母親に連れられて来院した。成績は中程度であるものの文字を書くことが苦手で、特に漢字を見本通りに書き写すことができない。このために教師や親から叱責されることが多くなり学校に行きたがらなくなった。友達関係に問題なく、運動も普通にできる。手先はやや不器用であるものの神経学的診察で他に異常を認めない。
この疾患について誤っているのはどれか。
男児に多い。
知能は正常範囲であることが多い。
注意欠陥多動性障害の合併が多い。
成人まで基本症状は持続することが多い。
作業に真剣に取り組ませると書字は改善することが多い。

解答: e

108D20の解説

本児の問題は「学校へ行きたがらないこと」ではない。なぜなら、日々教師や親から叱責されていては学校へ行きたくなくなるのは当然であるからだ。問題は「文字を書くことが苦手」ということ。これは書字障害と呼ぶ。学習障害〈LD〉の一症候である。
a 男児に多い。
b 「成績は中程度」と示してあることからも分かるように、知能は正常。
c 自閉症スペクトラム障害〈ASD〉・注意欠陥多動性障害〈ADHD〉・学習障害〈LD〉を合わせて発達障害と呼び、これらは互いに合併することが多い。
d 原則として成人後も症状は持続する。
e 誤り。「字が書けないのは不真面目だからだ」「根性が足りない」といった子供に対する叱責が病態を悪化させる。真剣に取り組んでいてもできない、というのが本疾患のポイント。

正答率:79%

テーマ:学習障害〈LD〉について

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