108A39

63歳の女性。隣家とのトラブルを主訴に家族に連れられて来院した。大学卒業後結婚し、主婦として問題なく過ごしていた。60歳ころから、明らかな誘因なく隣家の男性が家の中を覗いていると言うようになり、警察に相談することがあった。さらに、変な薬を家の中に送り込んで殺そうとしていると言うようになり、頻回に隣家に抗議し、隣家の前で罵倒することもあった。昨日は包丁を持って隣家に入り込み、警察沙汰になった。受診時、病識は欠如していた。身体的に明らかな問題は認められなかった。医療保護入院となり、一時拒薬がみられたものの抗精神病薬により約1か月で病的体験は軽減し、2回の外泊でも問題となる行動は示さなかった。また家事を以前と同じようにこなすこともできたことから退院することになった。
退院時の家族に対する説明として適切なのはどれか。
「精神病症状は再燃する可能性があります」
「服薬は患者自身に任せておけば大丈夫です」
「今後自閉的な傾向が現れてくる可能性が高いと思います」
「妄想については、現実ではないと説得し続けてください」
「リハビリテーションのためにデイケアに通所しなければなりません」

解答: a

108A39の解説

被害妄想が強く、妄想性障害や統合失調症が考えられる。老年期発症であることから、妄想性障害の方が考えやすくはあるが、本問では厳密な診断は必要ない。
a 正しい。拒薬もみられており、再燃する可能性はある。
b 拒薬もみられており、本人に任せておくのはリスキーである。
c 高齢初発の統合失調症(陽性症状が強い)や妄想性障害では自閉的な傾向はみられにくい。
d 「妄想」の定義は「訂正不能な誤った思考」であり、説得の意味はない。
e 「家事を以前と同じようにこなすこともできた」とあり、デイケア通所は「しなければなりません」のような義務ではない。

正答率:95%

テーマ:統合失調症退院時の家族に対する説明

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし