108A37

78歳の男性。微熱と血痰とを主訴に来院した。2か月前から咳嗽と喀痰とを自覚していた。1か月前から微熱と全身倦怠感とを自覚するようになり、1週前から血痰が出現するようになったため自宅近くの医療機関を受診し、胸部エックス線写真と胸部単純CTにて異常を指摘された。カルバペネム系抗菌薬で治療されたが改善がないため紹介されて受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長162cm、体重60kg。体温37.6℃。脈拍72/分、整。血圧112/68mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球418万、Hb 14.5g/dL、Ht 41%、白血球9,300(桿状核好中球10%、分葉核好中球45%、好酸球1%、単球10%、リンパ球34%)、血小板34万。CRP 5.0mg/dL。自宅近くの医療機関での胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部単純CT(B)とを別に示す。
確定診断に有用な検査はどれか。
結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉
喀痰抗酸菌PCR法
喀痰塗抹検査
喀痰嫌気培養
PET/CT

解答: b

108A37の解説

2か月前から咳嗽と喀痰であり、経過が比較的ゆっくりとしている。カルバペネム系抗菌薬が無効であることから、一般細菌の感染ではなさそうだ。画像A, Bにて空洞が認められ、肺結核を考えたい。画像Bでは右中葉(S5領域)に病変を認め(104D50と同様の画像)、非結核性抗酸菌症(MAC症)の可能性も高い。
a IGRAが陽性の場合、過去の感染の可能性もあり、確定診断とならない。
b 正しい。PCR検査陽性で確定とする。
c 喀痰塗抹検査は隔離の判定に使用される。結核症と非結核性抗酸菌症の鑑別はできない。
d 嫌気性菌感染ではない。
e PET/CTは悪性腫瘍を疑った場合に行う。感染症でも一部陽性となりうるが、いずれにせよ結核症の確定診断とはならない。

正答率:77%

テーマ:肺結核の確定診断に有用な検査

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