108F23

33歳の1回経妊1回経産婦。妊娠28週。本日朝からの軽度の下腹部痛と少量の性器出血とを主訴に来院した。妊娠27週の妊婦健康診査までは特に異常を指摘されていなかった。腟鏡診で淡血性の帯下を少量認める。内診で子宮口は閉鎖している。胎児心拍数陣痛図で10分周期の子宮収縮を認める。経腟超音波検査で頸管長15mm、内子宮口の楔状の開大を認める。腹部超音波検査で胎児推定体重は1,200g、羊水量は正常、胎盤は子宮底部にあり異常所見を認めない。BPS〈biophysical profile score〉は10点である。
治療薬として適切なのはどれか。
硝酸薬
α刺激薬
β2刺激薬
抗コリン薬
副腎皮質ステロイド

解答: c

108F23の解説

妊娠28週で10分周期の子宮収縮を認めている。切迫早産の診断。BPSは10点満点であるため、胎児の状態は良好なのだが、肺をはじめとして気管成熟が未熟であるため、28週で分娩はさせたくない。子宮収縮抑制薬を投与すべき局面である。
a・d 硝酸薬(ニトログリセリン)と抗コリン薬(塩酸ピペリドレート)にも平滑筋収縮を低下させる作用があるも、第一選択とはならない。
b α刺激薬は末梢血管の収縮作用があるも、子宮収縮とは関係がない。
c 正しい。塩酸リトドリンはβ2刺激薬である。本問が難しかったのは、薬剤名ではなく薬剤の分類で出題したためであろう。
e 胎児の肺成熟を促進させるべく副腎皮質ステロイドを使用することはあるも、現時点では胎児を胎内にとどめておくことを第一に考えるべきである。また、そもそも「治療」とは呼ばない。

正答率:81%

テーマ:切迫早産の治療薬

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