108A26

71歳の男性。肺癌術後2日で入院中である。2日前、右上葉肺癌のため右上葉切除とリンパ節郭清術を行った。術中出血量は65mL、手術時間は3時間10分だった。手術後の経過は順調で手術翌日から食事を開始した。しかし術後2日から胸腔ドレナージの排液量は500mLに増加し、排液の性状は淡血性から黄白色混濁となった。喫煙は20本/日を50年間。意識は清明。身長160cm、体重65kg。体温37.0℃。脈拍84/分、整。血圧120/74mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(鼻カニューラ1L/分酸素投与下)。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めないが、呼吸音は右側で軽度減弱している。血液所見:赤血球362万、Hb 12.4g/dL、Ht 36%、白血球7,700、血小板25万。CRP 2.4mg/dL。心電図に異常を認めない。術後2日のポータブル胸部エックス線写真(A)と胸腔ドレナージ排液(B)とを別に示す。
この患者の術後合併症として考えられるのはどれか。
膿胸
肺炎
乳び胸
無気肺
気管支断端瘻

解答: c

108A26の解説

画像Bの色調(本文中にも「排液の性状は淡血性から黄白色混濁」と記載あり)からは、膿胸か乳び胸を考えたい。「リンパ節郭清術を行った」と明記してある点、そして体温・CRPなどの上昇がごく軽度であり、膿胸を疑うほど感染徴候が強くないことなど総合的に鑑み、乳び胸と判断することとなる。
a 上記の通り、膿胸は否定的。
b 片側性の「淡血性から黄白色」液貯留はみない。
c 正しい。術後合併症としての乳び胸を発症したと考えられる。
d 画像Aにて両側に含気はみられており、無気肺は考えにくい。
e 気管支断端瘻では、胸腔内airが出現するはずである。

正答率:83%

テーマ:肺切除の術後合併症である乳び胸の診断

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