107I55

55歳の男性。胸痛を主訴に来院した。3年前から脂質異常症のため外来通院中である。今朝5時に圧迫感を伴う胸痛を布団の中で自覚したため受診した。胸痛は3分間続いたが受診時には自覚症状はない。脈拍72/分。血圧122/80mmHg。心音に異常を認めない。心電図検査を実施しようとしたところ急に胸痛が出現したが、ニトログリセリン錠の舌下投与で速やかに消失した。胸痛出現時と消失後の心電図(A、B)を別に示す。緊急に施行した冠動脈造影では冠動脈の閉塞や有意な狭窄は認められない。
治療薬で適切なのはどれか。
α遮断薬
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉

解答: c

107I55の解説

ニトログリセリンの舌下が有効であり、虚血性心疾患を考える。ただし、冠動脈造影にて狭窄を認めていないというのが悩ましい。画像AではI, aVL, V1~V6にST上昇とT波の増高がある。画像Bは正常な心電図である。症状が早朝に出現していることと合わせ、異型狭心症〈冠攣縮性狭心症〉と考える。
a α遮断薬は冠動脈に作用しない。
b β遮断薬はむしろ冠攣縮を誘発してしまう。
c 正しい。カルシウム拮抗薬は冠攣縮の抑制作用がある。
d アンジオテンシン変換酵素阻害薬は降圧薬であり、冠動脈に作用しない。
e NSAIDsは消炎鎮痛薬であり、冠攣縮に対する治療にはならない。

正答率:75%

テーマ:冠攣縮性狭心症〈異型狭心症〉の治療薬

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