107I53

64歳の男性。労作時の息切れと左胸痛とを主訴に来院した。20歳からビルなどの解体業に約30年間従事した。3か月前から咳が出現し、次第に労作時の息切れと左胸痛とを自覚するようになったため受診した。身長168cm、体重62kg。体温36.9℃。脈拍92/分、整。血圧152/88mmHg。呼吸数26/分。SpO2 96%(room air)。心音に異常を認めないが、左呼吸音が減弱している。血液所見:赤血球350万、Hb 11.2g/dL、Ht 34%、白血球8,800、血小板29万。血液生化学所見:総ビリルビン0.3mg/dL、AST 30U/L、ALT 24U/L、LD 460U/L(基準176~353)。CRP 3.2mg/dL。胸部CT(A)とFDG-PET(B)とを別に示す。
この疾患でみられるのはどれか。
胸部の鼓音
閉塞性換気障害
胸水中のブドウ球菌
胸水ヒアルロン酸高値
胸水アデノシンデアミナーゼ〈ADA〉高値

解答: d

107I53の解説

ビルなどの解体業に約30年間従事しており、アスベストへの曝露が考えられる。画像Aでは左胸膜の肥厚が、画像Bでは左肺全体への集積がみられる(胸膜は肺全体を覆っているため、実は肺外の集積なのだが肺全体の集積のように見えている)。悪性胸膜中皮腫の診断。
a 気胸にてみられる。
b 拡張障害がみられるため、拘束性換気障害をみる。
c ブドウ球菌の感染症ではない。
d 正しい。胸水ヒアルロン酸高値をみる。
e 結核性胸膜炎でみる。珪肺では結核を合併することがある。

正答率:90%

テーマ:胸膜中皮腫でみられるもの

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