107I41

31歳の3回経妊0回経産婦。妊娠8週。左下肢の疼痛を主訴に来院した。2週前から悪心と嘔吐とが出現し、十分な食事が摂れていないという。左下肢の腫脹が著明で、右下肢とは左右差を認める。左腓腹部に把握痛がある。血液所見:赤血球440万、Hb 13.5g/dL、Ht 40%、白血球10,000、血小板25万、Dダイマー5.8μg/mL(基準1.0以下)。CRP 1.4mg/dL。下肢静脈超音波カラードプラ法で、左大腿静脈に血流信号を認めない。入院後輸液を開始した。
治療薬として適切なのはどれか。
アスピリン
ウロキナーゼ
ヘパリン
硫酸マグネシウム
ワルファリン

解答: c

107I41の解説

妊娠8週で悪心と嘔吐をみており、妊娠悪阻である。超音波検査で左大腿静脈に血流信号を認めないことから深部静脈血栓症〈DVT〉が考えやすい。2年後に出題されることとなる109C11は本問を受けての作問と考えられるが、難しすぎたせいか残念ながら採点除外問題となってしまった。
a 抗血小板薬である。動脈硬化性病変には有効だが、血栓症には使用されない。
b 血栓溶解薬である。添付文書によれば妊婦にはメリットがデメリットを上回る場合に使用可とされる。が、脳血栓症は発症5日以内、末梢動静脈閉塞症は発症10日以内に適応とされる。本症例では10日以上が経過している可能性もあり、不適切。
c 正しい。ヘパリンは抗凝固薬であり、妊婦にも使用可能な薬剤である。
d 硫酸マグネシウムは子癇の治療薬である。
e ワルファリンは抗凝固薬であるが、胎盤移行性があるため、妊婦には禁忌である。

正答率:78%

テーマ:妊娠時の深部静脈血栓症〈DVT〉の治療薬

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