107D56

73歳の女性。発熱と腰痛とを主訴に来院した。5年前から糖尿病腎症による腎不全のため、維持血液透析を導入された。数日前から発熱と腰痛とが出現した。本日は疼痛のため朝から立てなくなった。意識は清明。仰臥位では常に両側の股関節を屈曲し、膝を立てている。体温39.0℃。脈拍112/分、整。血圧98/60mmHg。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側の股関節を伸展させると腰痛を訴える。血液所見:赤血球288万、Hb 8.2g/dL、Ht 25%、白血球13,200(桿状核好中球20%、分葉核好中球40%、単球15%、リンパ球25%)、血小板8.0万。血液生化学所見:尿素窒素64mg/dL、クレアチニン7.8mg/dL、AST 48U/L、ALT 68U/L、LD 348U/L(基準176~353)、Na 131mEq/L、K 5.8mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 10mg/dL。腹部造影CT(A)と腹部造影CT冠状断像(B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
虫垂切除術
ドレナージ
抗菌薬の投与
尿管ステント留置
体外衝撃波結石破砕術

解答: b,c

107D56の解説

糖尿病の背景があり、易感染性である。CRPが10mg/dlと高度上昇しており、細菌感染が濃厚。体温>38℃、脈拍>90/分、呼吸数>20/分、白血球数>12,000と全身性炎症反応症候群〈SIRS〉の基準を全て満たしているため、敗血症である。血圧も低下傾向にあるため、敗血症性プレショックと言える。その原因は画像(A, B)にて判明する。両側腸腰筋に水分の濃度の多発する小円形領域がみられ、腸腰筋膿瘍の診断となる。本疾患では両側の股関節を伸展させると腸腰筋が伸長するため症状が増悪する。
a 急性虫垂炎に有効。
b 正しい。膿瘍をドレナージする。
c 正しい。細菌感染であるため、抗菌薬が有効。
d 尿路閉塞に有効。
e 胆道結石や尿路結石に有効。

正答率:92%

テーマ:腸腰筋膿瘍の治療

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