107D54

50歳の女性。2か月前から出現した下肢の浮腫を主訴に来院した。約半年前から脱毛と多関節痛とを自覚していた。光線過敏の既往がある。身長156cm、体重48kg。体温37.4℃。脈拍84/分、整。血圧112/70mmHg。眼瞼と下腿とに浮腫を認める。尿所見:蛋白4+、潜血2+、沈渣に赤血球10~19/1視野、顆粒円柱1~4/1視野、卵円形脂肪体1~4/1視野。血液所見:赤血球320万、Hb 9.8g/dL、Ht 29%、白血球3,200、血小板10万。血液生化学所見:空腹時血糖90mg/dL、総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.1g/dL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、IgG 1,950mg/dL(基準960~1,960)、IgA 350mg/dL(基準110~410)、IgM 240mg/dL(基準65~350)、総コレステロール320mg/dL。免疫学所見:CH50 10U/mL未満(基準30~40)、C3 40mg/dL(基準52~112)、C4 6mg/dL(基準16~51)、抗核抗体1,280倍(基準20以下)、抗DNA抗体(RIA法)56IU/mL(基準7以下)、抗リン脂質抗体陰性。腎生検のH-E染色標本を別に示す。
治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ
抗菌薬
免疫抑制薬
経口血糖降下薬
カルシウム拮抗薬
副腎皮質ステロイド

解答: b,e

107D54の解説

脱毛、多関節痛、光線過敏、発熱、といった身体所見より全身性エリテマトーデス〈SLE〉を念頭に置く。検査項目でも補体低下や抗DNA抗体陽性をみており、SLEと診断できる。尿蛋白4+かつ血中アルブミン2.1g/dlとネフローゼ症候群の定義を満たしている。画像ではメサンギウム細胞の増生とwire loop lesionとを指摘可能。ループス腎炎である。
a 細菌感染症ではない。
b・e 正しい。SLEの治療には副腎皮質ステロイドが第一選択となる。免疫抑制薬と併用することもある。
c 空腹時血糖は90mg/dlであり、糖尿病とは考えられない。
d 血圧は112/70mmHgであり、降圧薬が必要な状況とは考えられない。

正答率:97%

テーマ:ループス腎炎の治療薬

フォーラムへ投稿

関連トピック