107D35

32歳の男性。上腹部痛のため搬入された。2か月前の腹部超音波検査を含む健康診断で左腎嚢胞以外に異常はなかった。夕食後約2時間で、徐々に悪化する上腹部痛を自覚し、耐え難い痛みとなったため救急車を要請した。飲酒は日本酒3合/日を10年間。意識は清明。身長172cm、体重78kg。体温37.6℃。脈拍104/分、整。血圧132/74mmHg。SpO2 98%(room air)。腹部は平坦、心窩部に圧痛を認める。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球469万、Hb 14.9g/dL、Ht 45%、白血球16,300(桿状核好中球8%、分葉核好中球64%、好酸球2%、単球2%、リンパ球24%)、血小板21万。血液生化学所見:血糖120mg/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、LD 925U/L(基準176~353)、ALP 312U/L(基準115~359)、γ-GTP 56U/L(基準8~50)、アミラーゼ1,934U/L(基準37~160)、Na 136mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 100mEq/L、Ca 7.4mg/dL、CA19-9 12U/mL(基準37以下)。CRP 11mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.34、PaCO2 29Torr、PaO2 98Torr、HCO3- 15mEq/L。絶食とし、輸液を開始した。腹部造影CTを別に示す。
次の対応として適切なのはどれか。
輸血
胃管留置
腹部血管造影
上部消化管造影
内視鏡的逆行性膵管造影

解答: b

107D35の解説

夕食後約2時間で生じた上腹部痛。飲酒が日本酒3合/日と多く、血中アミラーゼが高度上昇している。画像では膵実質の造影不良と周囲の液体貯留がみられる。急性膵炎の診断。
※急性膵炎の治療については近年考え方が大きく変わっている(こちらのトピック参照)。107回と昔の問題であるため、現代では参考程度にとらえてほしい。
a 赤血球・Hbとも保たれており(むしろ濃縮により高値)、輸血は不要。
b 当時の正解だが現代では△。胃内減圧や胃液の吸引を目的としてかつて行われていたが、現代では不要とされる。
c・d 急性膵炎には無効な検査である。
e 内視鏡的逆行性膵管造影は医原性急性膵炎の原因である。禁忌。

正答率:69%

テーマ:急性膵炎で絶食と輸液の次にする対応

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