107D28

52歳の男性。胸痛を主訴に来院した。1か月前にがん検診で胸部異常陰影を指摘された。精査したところ手術が必要と診断され、本日外来で手術説明を受け翌週手術が予定された。しかし帰宅途中に車のドアで胸を打ったときに急に右胸痛が出現し再度来院した。再来院時胸痛は右胸部全体にみられ体位と関係しない。喫煙は20本/日を12年間。意識は清明。身長158cm、体重60kg。体温37.1℃。脈拍76/分、整。血圧120/74mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(鼻カニューラ2L/分酸素投与下)。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めないが、呼吸音は右側が減弱している。血液所見:赤血球354万、Hb 11.1g/dL、Ht 33%、白血球14,700、血小板15万。CRP 0.1mg/dL。心電図で異常を認めない。手術説明時の胸部エックス線写真(A)及び胸部造影CT(B)、胸痛で再来院した際の胸部エックス線写真(C)及び胸部単純CT(D)を別に示す。
胸痛の原因として考えられるのはどれか。
縦隔腫瘍の穿破
大動脈瘤破裂
肺血栓塞栓症
急性肺炎
無気肺

解答: a

107D28の解説

画像A, Bでは前縦隔の巨大な腫瘤がみられている。帰宅途中に車のドアで胸を打った後に撮影された画像ではCにて右肺の透過性低下を、Dにて右背部に貯留する液体を指摘できる。胸を打った衝撃で腫瘍が穿破したと考えられる。
a 正しい。上記の通り。
b 画像Dにて大動脈は保たれている。
c 画像Dにて肺動脈内の血栓は指摘できない。
d 車のドアで胸を打った瞬間に急性肺炎になるとは考えられない。
e 画像Dにて含気は指摘できるため、無気肺は否定的。

正答率:92%

テーマ:縦隔腫瘍の穿破の診断

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