107B55

次の文を読み、55~57の問いに答えよ。
68歳の男性。血痰を主訴に来院した。
現病歴:3か月前から咳嗽があり、時々血痰も出現していた。最近血痰の回数が増加したため来院した。
既往歴:55歳時に胆石症で手術。
生活歴:中華料理店に50年間勤務。喫煙は20本/日を48年間。飲酒は日本酒5合/日を40年間。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長173cm、体重77kg。体温36.6℃。脈拍64/分、整。血圧134/82mmHg。呼吸数18/分。SpO2 93%(room air)。頸部リンパ節を触知しない。心音に異常を認めないが、呼吸音は右上前胸部で減弱している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
検査所見:血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球8,800(桿状核好中球20%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球27%)、血小板15万。血液生化学所見:血糖130mg/dL、HbA1c 7.4%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.9mg/dL、総コレステロール246mg/dL、トリグリセリド190mg/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 35U/L、ALT 28U/L、LD 198U/L(基準176~353)、ALP 264U/L(基準115~359)、γ-GTP 50U/L(基準8~50)、アミラーゼ98U/L(基準37~160)、CK 42U/L(基準30~140)。CEA 3.5ng/mL(基準5以下)、SCC 9.7ng/mL(基準1.5以下)。CRP 1.5mg/dL。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真(A)と胸部造影CT(B)とを別に示す。
患者に対する説明で適切なのはどれか。
「右肋骨に病変があります」
「右肺の血管が詰まっています」
「右胸の中に水がたまっています」
「右肺の中に膿がたまっています」
「右肺の太い気管支が詰まっています」

解答: e

107B55の解説

高齢男性の血痰であり、真っ先に肺癌が思い浮かぶ。画像Aにて右上葉の無気肺が、画像Bにて中枢側から連続する同部位の腫瘤影がみられる。肺癌が中枢気管支を閉塞したことによる無気肺が考えやすい。SCCが上昇しており、扁平上皮癌を疑う。中枢発症や喫煙歴も矛盾しない。余談になるが、中華料理店勤務というのは何を意味するのであろうか。脂っぽいものを食べるため胆石症の既往や脂質異常症に結びつけたかったのか、喫煙や飲酒が多い職場、と言いたかったのか。
a 肋骨病変ではない。
b CTにて上大静脈や大動脈、肺動脈は開存している。
c 画像Aにて肋骨横隔膜角〈CPA〉は鋭く、胸水はない。
d 肺膿瘍ではない。発熱など感染症状がないことからも明らか。
e 正しい。上記の通り。

正答率:89%

テーマ:【長文1/3】肺扁平上皮癌による無気肺患者に対する説明

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