107B52

次の文を読み、38~40の問いに答えよ。
88歳の女性。食事をとらないことを心配した家族から訪問診療の際に相談を受けた。
現病歴:5年前にAlzheimer型認知症と診断された。数年前から下肢筋力が低下していた。数か月前からは長男の妻の介助だけでは車椅子乗車も不可能となり、ほとんど臥床している状態となった。通院が困難なため訪問看護と訪問診療が開始となった。長男の妻によれば「最近、食事をとらないことが多く、義歯をはめると嫌がり、むせることも多い」という。
既往歴:高血圧症のため内服加療中。
生活歴:夫は5年前に死亡。長男夫婦と同居。主な介護者は長男の妻である。要介護4。1日1回の訪問介護と、週に3回のデイサービスを利用している。排泄にはオムツを使用している。食事は家族の介助で摂取している。入浴はデイサービスを利用している。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:身長145cm、体重30kg(1か月前の体重は32kgであった)。体温35.8℃。脈拍56/分、整。血圧92/70mmHg。呼吸数12/分。SpO2 97%(room air)。皮膚はやや乾燥している。眼瞼結膜に異常を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。口腔粘膜に異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心尖部にII/VI度の汎収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に軽度の浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球368万、Hb 11.9g/dL、Ht 38%、白血球5,300、血小板12万。血液生化学所見:血糖90mg/dL、総蛋白5.9g/dL、アルブミン2.9g/dL、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、総コレステロール186mg/dL、トリグリセリド70mg/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 20U/L、ALT 12U/L、ALP 273U/L(基準115~359)、γ-GTP 25U/L(基準8~50)、CK 28U/L(基準30~140)、Na 131mEq/L、K 3.2mEq/L、Cl 97mEq/L。
最初に行うべきなのはどれか。2つ選べ
頭部CT
腹部CT
上部消化管造影
歯科医への診察依頼
耳鼻科医への診察依頼

解答: d,e

107B52の解説

Alzheimer型認知症と診断されている高齢女性。食事をとらない、とのことだが現病歴からその理由は分かるであろう。入れ歯があっていないため、食事がたべづらいのだ。「むせることも多い」という記載からは誤嚥性肺炎のリスクも考えるべき。アルブミン2.9g/dlと低下しており、栄養不良が示唆される。問題とは関係ないが、心尖部の汎収縮期雑音は僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉を示唆する。
a・b・c これら画像検査が必要な状況ではなさそうだ。
d 正しい。義歯が合っていないことが考えられるため、歯科医に診察をお願いする。
e 正しい。嚥下機能の評価のため、耳鼻科医に診察をお願いするのも一手。

正答率:61%

テーマ:【長文1/3】食事をとらなくなった認知症患者に最初に行うべきこと

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