107B45

62歳の男性。呼吸困難のため搬入された。3年前から右下肢の筋力低下が出現し、階段を昇りにくくなった。2年前から左下肢の筋力低下も出現し、歩行が困難になった。1年前から両手の筋力低下も出現し、3か月前から食事摂取量が減少している。本日の夕方から呼吸困難が出現したため、同居する家族が救急車を要請した。意識は清明。身長165cm、体重55kg。体温36.2℃。脈拍112/分、整。血圧150/100mmHg。呼吸数22/分。神経学的診察では、構音障害、嚥下障害、四肢の筋力低下・筋萎縮および四肢腱反射亢進を認める。感覚障害と運動失調とを認めない。舌の写真を別に示す。
この患者で予想される検査所見はどれか。
脳波での三相波
感覚神経伝導速度の低下
針筋電図での高振幅電位
エドロホニウムテスト陽性
聴性脳幹反応〈ABR〉第I波の消失

解答: c

107B45の解説

四肢の腱反射亢進があり、上位運動ニューロンの障害があることが分かる。が、上位運動ニューロン障害では廃用性萎縮をのぞけば筋萎縮がみられないはずであり、下位運動ニューロンも障害されている可能性を考えねばならない。感覚障害や運動失調がみられておらず(陰性症状)、写真にて舌の萎縮がみられていることと合わせ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の診断となる。
a 脳波での三相波は肝性脳症でみる。
b 感覚障害はみられていない。
c 正しい。神経原性変化を示唆し、針筋電図での高振幅電位〈giant spike〉をみる。
d エドロホニウムテスト陽性は重症筋無力症〈MG〉でみる。
e 聴性脳幹反応〈ABR〉第Ⅰ波の消失は内耳神経障害でみる。

正答率:79%

テーマ:筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で予想される検査所見

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