107A39

23歳の女性。下肢の浮腫を主訴に来院した。3週前から軟便と腹部不快感とがみられていた。1週前から下肢の浮腫が出現し、次第に増悪してきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長158cm、体重70kg。体温36.3℃。脈拍92/分、整。血圧124/74mmHg。全身の浮腫が著明である。皮疹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血(-)、沈渣に硝子円柱1/数視野、卵円形脂肪体1/数視野。血液所見:赤血球586万、Hb 17.3g/dL、Ht 50%、白血球5,400、血小板28万。血液生化学所見:血糖99mg/dL、総蛋白4.6g/dL、アルブミン1.4g/dL、尿素窒素9mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸7.5mg/dL、総コレステロール880mg/dL、トリグリセリド120mg/dL、AST 22U/L、ALT 23U/L、Na 141mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 105mEq/L。免疫学所見:CRP 0.2mg/dL、CH50 32.4U/L(基準30~40)。腎生検のPAS染色標本(A)と電子顕微鏡写真(B)とを別に示す。
治療薬として最も適切なのはどれか。
HMG-CoA還元酵素阻害薬
抗血小板薬
シクロホスファミド
副腎皮質ステロイド
利尿薬

解答: d

107A39の解説

尿所見で蛋白3+、血液生化学所見でアルブミン1.4g/dlをみており、ネフローゼ症候群の診断となる。画像Aでは糸球体・間質の異常を認めない。画像Bでは糸球体上皮の足突起が融合しており、微小変化群型〈MC〉ネフローゼ症候群の診断となる。
a 高コレステロール血症に有効。本症例で総コレステロールが高値なのは、ネフローゼ症候群の一徴候としてであり、代謝の問題ではない。
b IgA腎症や膜性腎症など、血管狭窄が腎機能低下を進行させるタイプの糸球体腎炎に有効。
c 免疫抑制薬であり、再発例に有効。
d 正しい。MCには副腎皮質ステロイドが著効する。
e 浮腫をみてはいるも、利尿薬は対症療法にすぎない。

正答率:90%

テーマ:微小変化型ネフローゼ症候群〈MC〉の治療薬

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