107A32

42歳の女性。発熱を主訴に来院した。1週前から発熱を認め自宅近くの診療所で感冒薬と解熱薬とを処方されたが、改善しないため受診した。身長162cm、体重48kg。体温38.6℃。脈拍96/分、整。血圧98/42mmHg。呼吸数15/分。聴診で拡張期灌水様〈拡張早期性〉雑音を認める。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球17,300(桿状核好中球12%、分葉核好中球70%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球10%)、血小板12万、PT 84%(基準80~120)。血液生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、LD 377U/L。CRP 3.6mg/dL。心エコー図を別に示す。
この患者の合併症として最も留意すべきなのはどれか。
肺線維症
脳塞栓症
肺血栓塞栓症
急性腎盂腎炎
亜急性甲状腺炎

解答: b

107A32の解説

典型的な抜歯エピソード等はないが、感冒薬反応性の悪い持続する発熱や拡張期灌水様〈拡張早期性〉雑音(肺動脈弁閉鎖不全症〈PR〉や大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉を示唆する)を聴取していることなどから感染性心内膜炎〈IE〉を考えたい。画像では大動脈弁に付着する疣贅〈vegetation〉がみられる。これによる弁破壊でARによる拡張期灌水様〈拡張早期性〉雑音がみられているのであろう。
a・c 肺は血流的に大動脈弁より上流であり、障害されにくい。
b 正しい。疣贅が栓子となり、全身の塞栓症状を呈する。脳塞栓症は脳梗塞をきたすため、留意すべきである。
d 急性腎盂腎炎よりも、腎動脈塞栓による腎梗塞に留意したい。
e 亜急性甲状腺炎はウイルス感染がリスクとなる。本症は好中球優位の白血球上昇からも分かるように、細菌感染が原因である。

正答率:89%

テーマ:感染性心内膜炎〈IE〉の合併症

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