107C27

現 症:身長162cm、体重85kg。体温36.6℃。脈拍88/分、整。血圧162/102mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。皮膚は湿潤である。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。橈骨動脈の触知は良好で左右差を認めない。足背動脈の触知は良好で左右差を認めない。下腿浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球460万、Hb 13.0g/dL、Ht 42%、白血球8,400、血小板21万。血液生化学所見:血糖138mg/dL、HbA1c 5.4%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.4g/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸7.5mg/dL、総コレステロール223mg/dL、トリグリセリド256mg/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 22U/L、ALT 14U/L、LD 172U/L(基準176~353)、ALP 225U/L(基準115~359)、γ-GTP 36U/L(基準8~50)、アミラーゼ48U/L(基準37~160)、CK 138U/L(基準30~140)、Na 144mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.9mg/dL、P 3.3mg/dL。12誘導心電図は洞調律で有意なST-T変化を認めない。胸部エックス線写真は心胸郭比46%で肺うっ血を認めない。心エコーでは壁肥厚、壁運動低下および右心負荷所見を認めない。
現時点で、他に実施すべき検査はどれか。
運動負荷心電図
胸部単純CT
呼吸機能検査
心筋トロポニンT測定
脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉測定

解答: d

107C27の解説

下腿浮腫、CK値、心電図でのST-T変化、胸部エックス線写真での肺うっ血、心エコーでの壁肥厚・壁運動低下・右心負荷所見、すべて陰性である。ではこの患者に急性心筋梗塞〈AMI〉はないのか、というとそうではない。現症2行目の「皮膚は湿潤」が前問と関係してくる。緊急性は高いのだ。上記のような典型所見がいくら陰性であるからといって、AMIは否定してはならない、という出題者のメッセージが込められている。
a 運動負荷心電図は労作性狭心症に有効。
b 胸部単純CTによる心臓(特に冠動脈)の評価は困難。
c 呼吸機能検査は閉塞性や拘束性の呼吸不全の判定に有効。
d 正しい。心電図でST-T変化が陰性の場合でも、心筋トロポニンTは陽性となることがある。特異度の高いマーカーであるため、測定する意義が高い。
e 心不全の存在を示唆するにすぎず、上昇していたとしても現時点で得られる情報は少ない。

正答率:83%

テーマ:【長文2/2】虚血性心疾患を疑う患者で実施すべき検査

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