106H22

69歳の男性。腹部膨満感と全身倦怠感とを主訴に来院した。1か月前から腹部の膨満感と全身倦怠感とを、2週前から下腿がむくんでいることを自覚していた。3日前から全身倦怠感が著明となったため受診した。会社の健康診断で肝障害を指摘されていたが、自覚症状がなかったため医療機関を受診しなかった。60歳で退職後、血液検査を受けていない。15歳時の交通事故で輸血を受けたことがある。身長165cm、体重67kg。体温36.8℃。脈拍76/分、整。血圧140/92mmHg。手掌に発赤を認める。胸部聴診で異常を認めない。腹部は膨隆している。圧痛や抵抗はない。肝を触知しない。左肋骨弓下に脾を2cm触知する。腫瘤を触れない。打診では体位変換で濁音境界が移動する。下腿に浮腫を認める。血液所見:赤血球304万、Hb 9.8g/dL、Ht 35%、白血球2,900、血小板7.0万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン2.5g/dL、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、総ビリルビン2.1mg/dL、AST 55U/L、ALT 40U/L。
この患者の重症度を判断するために重要性が低いのはどれか。
腹部造影CT
血液凝固検査
腹部超音波検査
上部消化管内視鏡検査
下部消化管内視鏡検査

解答: e

106H22の解説

腹部膨満感と全身倦怠感を主訴に来院した69歳男性。輸血歴と肝障害の指摘とがあり、身体診察では手掌紅斑と下腿浮腫を認める。打診で濁音境界が体位変換で移動することから腹水貯留が考えられる。汎血球減少や低アルブミン血症、脾腫を呈しており肝硬変を考える。
a 腹部造影CTにて肝細胞癌の有無を含め肝の評価(大きさ、辺縁の性状)を行う。また、腹水の程度も評価する。
b 肝硬変の重症度分類として凝固機能の評価を行う。
c 肝細胞癌や腹水貯留の評価など低侵襲に評価できる。
d 食道胃静脈瘤の有無を確認する。
e 誤り。肝硬変の合併症は下部消化管に出現しないため重要性は低い。

正答率:96%

テーマ:肝硬変〈LC〉患者の重症度を判定する検査

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