106G51

7歳の男児。背が低いことを心配した母親に伴われて来院した。幼稚園では他の児に比べて少し背が低い程度であったが、最近、小学校の同級生との身長差が徐々に拡大してきているという。在胎38週、体重2,780g、骨盤位で出生した。母子健康手帳によると、出生時身長49.0cm、Apgarスコア5点(1分)であった。小学校の成績は普通で、家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。活気はある。身長106.3cm(-2.6SD)、体重21.0kg(-0.5SD)。外表奇形や四肢短縮を認めない。血液生化学所見:TSH 1.1μU/mL(基準0.44~4.1)、FT3 3.0pg/mL(基準2.5~4.5)、FT4 1.2ng/dL(基準0.8~2.2)。手エックス線写真を別に示す。
現時点の対応で適切なのはどれか。
染色体検査を行う。
心配ないと説明する。
1年後の再診を指示する。
アルギニン負荷試験を行う。
血中ビタミンD濃度を測定する。

解答: d

106G51の解説

低身長が心配な7歳の男児である。背が低いことを心配し7歳の男児。最近、小学校の同級生との身長差が徐々に拡大してきているという既往歴からは内分泌性を考えたい。TSH 1.1μU/ml、FT3 3.0pg/ml、FT4 1.2ng/dlであり甲状腺機能に異常はなさそうだ。手エックス線写真では骨年齢は4歳相当であり、成長遅延がみられる。なお、橈骨に接しているようにみえる骨は橈骨の遠位端なので注意したい。
a 染色体検査を行うのは原発性の低身長を疑う場合であり、出生時から低身長である。
b 内分泌性に身長が疑われ、心配ないはずがない。
c 現時点で治療する必要がある。
d 正しい。内分泌性を考えた場合、成長ホルモン値や甲状腺ホルモン値測定、頭部MRI 検査が有用であり、GH分泌試験であるアルギニン負荷は有用である。
e 血中ビタミンD濃度はくる病を疑う際に測定するが、X線像より否定的である。

正答率:63%

テーマ:成長ホルモン分泌不全を疑う7歳男児への対応

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