106F28

次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
67歳の男性。全身の衰弱を心配した家族に伴われて来院した。
現病歴:3か月前から徐々に体重が減少し、2か月前から外出できなくなり、1週前からは家族の介助がないと立ち上がれなくなった。患者本人は受診を嫌がっていたが、2日前からはほとんど食事が摂れず、トイレまで歩くこともできなくなったため受診に同意した。
既往歴:健康診断は受けていない。
生活歴:喫煙は60本/日を47年間。飲酒は日本酒1~2合/日を47年間。
家族歴:父親が高血圧症で、脳梗塞のため82歳で死亡。
現 症:意識は清明。身長165cm、体重42kg。体温37.6℃。脈拍120/分、整。血圧96/62mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。右の前胸部、背部および側胸部で呼吸音が減弱している。coarse cracklesを聴取しない。皮膚のツルゴールが低下している。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球394万、Hb 13.1g/dL、Ht 40%、白血球11,700(好中球85%、好酸球1%、単球6%、リンパ球8%)、血小板50万。血液生化学所見:随時血糖181mg/dL、HbA1c 6.5%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.3g/dL、アルブミン2.3g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸3.8mg/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 47U/L、ALT 28U/L、LD 391U/L(基準176~353)、ALP 435U/L(基準115~359)、γ-GTP 44U/L(基準8~50)、Na 133mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 93mEq/L、Ca 9.6mg/dL。CRP 24mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。
この患者の病態として考えにくいのはどれか。
脱水症
感染症
糖尿病
悪性腫瘍
うっ血性心不全

解答: e

106F28の解説

全身の衰弱を心配した家族に伴われて来院した67歳男性。3か月前から体重減少を認め、2か月前から外出ができずにいる。徐々にADLの低下を認めている。
a 皮膚のツルゴールが低下しており、脱水症を認める。
b CRP 24mg/dLと高値であり、感染症が示唆される。
c 随時血糖181mg/dL、HbA1c 6.5%であり糖尿病を考える。
d 喫煙歴があること、3か月前から体重減少を認めること、胸部エックス線写真で右中葉、下葉で無気肺を認めており悪性腫瘍が考えられる。
e 誤り。頸静脈の怒張や下腿浮腫を認めず、聴診でcoarse cracklesを聴取しないことから、うっ血性心不全は否定的。

正答率:83%

テーマ:【長文1/2】全身衰弱した高齢男性(肺癌疑い)の病態

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