106E43

68歳の男性。血尿を主訴に来院した。1か月前から間欠的に血尿があった。15年前から高血圧症に対し降圧薬を内服中であり、糖尿病に対しインスリン療法を行っている。12年前に肝血管腫を疑われ、腹部造影CTを撮影した際に、蕁麻疹と重篤な呼吸困難とをきたしたことがある。喫煙は20本/日を48年間。身長165cm、体重70kg。体温36.0℃。脈拍76/分、整。血圧162/92mmHg。呼吸数14/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白3+、糖2+、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球10~20/1視野。血液所見:赤血球358万、Hb 10.6g/dL、Ht 33%、白血球7,800、血小板24万。血液生化学所見:血糖180mg/dL、HbA1c 7.0%(基準4.3~5.8)、総蛋白6.0g/dL、アルブミン2.9g/dL、尿素窒素50mg/dL、クレアチニン3.2mg/dL、Na 132mEq/L、K 5.6mEq/L、Cl 98mEq/L。免疫学所見:CRP 0.8mg/dL。PSA 2.6ng/mL(基準4以下)。腹部超音波検査で左腎盂内に径20mmの腫瘤を認める。膀胱鏡検査で膀胱と尿道とに異常はないが、左尿管口から血尿の流出を認める。
血尿の原因精査のために行う検査として適切なのはどれか。
尿培養
腎生検
尿細胞診
レノグラム
静脈性腎盂造影

解答: c

106E43の解説

a 発熱はなく、尿・血液所見から尿路感染症は否定的であるため尿培養の必要はない。
b 糸球体腎炎の鑑別で行われる検査である。腎細胞癌の場合、腫瘍の播種や出血の可能性から生検は禁忌とされる。
c 正しい。腎盂癌だけでなく尿管癌や膀胱癌でも、悪性の細胞所見は診断に非常に有用である。
d アイソトープを用いた検査で、分腎機能評価に用いられる。
e 12年前の造影で呼吸困難をきたしているためヨードアレルギーと考えられ、造影検査は禁忌である。

正答率:74%

テーマ:腎腫瘍疑い患者の血尿の原因精査のために行う検査

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