106D42

45歳の男性。意識障害のため搬入された。5日前から38℃台の発熱が続いていた。昨日から傾眠状態となり、次第に増悪してきたため家族が救急車を要請した。下痢と血便とはなかったという。意識レベルはJCS II-30。身長158cm、体重59kg。体温39.0℃。脈拍88/分、整。血圧110/70mmHg。呼吸数28/分。皮膚に出血斑を認める。尿所見:蛋白2+、潜血2+。血液所見:赤血球138万、Hb 4.1g/dL、Ht 16%、白血球8,000、網赤血球5%、血小板1.2万、PT 97%(基準80~120)、APTT 32秒(基準対照32)。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン3.3g/dL、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。
治療として適切なのはどれか。
血小板輸血
抗DIC療法
血漿交換療法
Helicobacter pylori除菌
免疫グロブリンの大量投与

解答: c

106D42の解説

意識障害と発熱、腎障害を呈している。血小板も減少しており、血栓と血小板減少をきたす疾患を思い浮かべながら血液塗抹標本に目を向ける。破砕赤血球が認められる。下痢と血便とがないため、溶血性尿毒症症候群〈HUS〉は否定的。また、高度の凝固異常がみられないため播種性血管内凝固〈DIC〉も否定的。血栓性血小板減少症〈TTP〉を考える。
a 血小板輸血をすると血栓形成の材料に血小板が使用され、ますます病態が悪化するため禁忌。
b 本症例はDICではないため誤り。
c 正しい。TTPはADAMTS13の自己抗体が原因とされている。血漿交換で自己抗体を取り除く。
d ピロリ菌除菌は免疫(特発)性血小板減少性紫斑病〈ITP〉で用いられる。
e dと同様、ITPで用いられる。

正答率:69%

テーマ:血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の治療

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