106C28

次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
32歳の男性。風邪が治らないことを主訴に来院した。
現病歴:8日前に全身倦怠感と咽頭痛とが出現した。風邪をひいたと考え、数日は睡眠を長めにとって様子をみていたが、改善しなかった。4日前から耳閉感が出現し、37.5℃の発熱もみられた。2日間仕事を休み、市販の総合感冒薬を服用していたが、症状が改善しないため受診した。鼻汁、鼻閉感および咳はない。頭痛はないが、頸部から後頭部にかけて重たい感じがあるという。
既往歴:スギ花粉症。
生活歴:妻との2人暮らし。事務職。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が高血圧症で薬物治療中。母親が糖尿病で食事療法中。
身体診察を開始しようとしたときに、患者が「市販の風邪薬では治らなかったので、風邪に効く抗生物質を出していただけますか」と尋ねてきた。
現時点の医師の返答として最も適切なのはどれか。
「抗生物質は風邪には効果がありません」
「抗生物質は副作用があるので出しません」
「抗生物質を出すか出さないかは、私が決定します」
「抗生物質が必要かどうか、診察の後で説明します」
「医学用語では抗生物質ではなく抗菌薬と言います」

解答: d

106C28の解説

風邪が治らないことを主訴に来院した男性が、「市販の風邪薬では治らなかったので、風邪に効く抗生物質を出していただけますか」と尋ねてきた。この発言への返答を選ぶ問題。
a かぜ症候群の原因はウイルスのことが多く、抗生物質(微生物に拮抗する薬剤の総称;一般には抗菌薬のことを指す)は確かに無効な可能性が高い。が、こうした内容を今ここで説明する必要性は低い。
b 副作用があったとしても、メリットがデメリットを上回ると医師が判断すれば投与される。
c パターナリズムな対応であり、患者によい心象は与えない。
d 正しい。まだ診察をしておらず、投薬の必要性の判断は早計だ。
e aで示したように、曖昧さの観点から医学的には抗生物質と呼ぶのは好ましくない。が、非医療者である患者にこうした内容を説明する必要性は低い。

正答率:95%

テーマ:【長文1/2】「抗生物質」の処方を希望する患者への対応

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