106B44

64歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。4日前に左胸痛と息切れとが出現し、次第に増悪してきたため受診した。体温36.2℃。脈拍100/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数20/分。SpO2 92%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。左胸部に呼吸音を聴取しない。血液所見:赤血球420万、Hb 13.0g/dL、Ht 37%、白血球4,400(桿状核好中球5%、分葉核好中球60%、好酸球1%、好塩基球2%、単球7%、リンパ球25%)、血小板21万。CRP 0.4mg/dL。来院時の胸部エックス線写真(A)を別に示す。入院後、胸腔ドレーンを挿入したところ、直後から咳嗽と泡沫状の喀痰とが出現した。この時点の胸部エックス線写真(B)を別に示す。
胸腔ドレーン挿入後の病態として正しいのはどれか。
肺炎
肺水腫
無気肺
肺胞出血
うっ血性心不全

解答: b

106B44の解説

呼吸困難を主訴とする64歳男性。4日前から左胸痛と息切れがあり、次第に増悪してきた。来院時の胸部エックス線写真(A)では左肺が虚脱しており、左気胸と診断する。胸腔ドレーンを挿入した直後から咳嗽と泡沫状の喀痰とが出現した。この時点の胸部エックス線写真(B)では左肺の透過性が低下しており、肺水腫をきたしている。再膨張性肺水腫が最も考えられる。
a 経過が急性であり可能性は低い。
b 正しい。急激な肺の再膨張に伴う血管透過性の亢進により肺水腫をきたしたのだろう。
c 無気肺であれば区域性に透過性低下を来すことが多い。
d 肺胞出血であれば、喀血を認めるはず。
e うっ血性心不全の場合は両側性に肺水腫の所見を認めるはず。

正答率:84%

テーマ:気胸に対する胸腔ドレーン挿入後の合併症

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