106A43

42歳の女性。1か月前からの全身倦怠感と高血圧とを主訴に来院した。36歳時にうつ病との診断で抗不安薬と抗うつ薬とを処方され、継続して服用していた。1年前からめまいがあり、友人の勧めで様々なサプリメントや漢方薬を服用していたという。3か月前の健康診断では、血圧124/74mmHg、尿蛋白(-)、尿潜血(-)、クレアチニン0.8mg/dLであった。身長158cm、体重52kg。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧162/102mmHg。呼吸数16/分。眼瞼結膜は蒼白である。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟である。下腿に浮腫を認めない。尿所見:蛋白2+、潜血3+。血液所見:赤血球241万、Hb 7.0g/dL、Ht 21%、白血球7,000、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.9g/dL、尿素窒素46mg/dL、クレアチニン6.9mg/dL、尿酸6.1mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.5mg/dL。腎生検のPAS染色標本を別に示す。
この患者の検査所見として考えられるのはどれか。
抗核抗体陽性
MPO-ANCA陽性
代謝性アルカローシス
血中クリオグロブリン陽性
尿中β2-ミクログロブリン高値

解答: e

106A43の解説

3か月前の健康診断では、血圧124/74mmHg、尿蛋白(-)、尿潜血(-)、クレアチニン0.8mg/dlであったのが、今回は血圧162/102mmHg、尿蛋白2+、尿潜血3+、クレアチニン6.9mg/dlと悪化している腎機能低下患者である。抗不安薬や抗うつ薬、様々なサプリメント、漢方薬を服用していることから薬剤性の腎障害を疑う。腎生検のPAS染色標本は弱拡大にて糸球体は問題なく、間質への炎症細胞の浸潤が認められることから急性間質性腎炎と診断できる。
a 全身性エリテマトーデス〈SLE〉によるループス腎炎等では抗核抗体が陽性となるも、急性間質性腎炎では抗核抗体はみられない。
b MPO-ANCA は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈EGPA〉〈アレルギー性肉芽腫性血管炎〉〈Churg-Strauss 症候群〉や顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉で陽性となる。
c 急性腎不全では代謝性アシドーシスをきたす。
d 膜性増殖性糸球体腎炎にて陽性となることが多いが、その場合には糸球体病変が認められるはずである。
e 正しい。間質障害により近位尿細管が障害され、高値となる。

正答率:87%

テーマ:急性間質性腎炎の検査所見

フォーラムへ投稿

関連トピック