106A31

78歳の男性。3時間前から持続する胸痛と冷汗とを主訴に来院した。1か月前に受けた健康診断では心電図の異常を指摘されなかった。10年前から脂質異常症を指摘されている。喫煙は20本/日を50年間。脈拍88/分、整。血圧162/98mmHg。来院時の心電図を別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
急性心膜炎
肥大型心筋症
急性冠症候群
高血圧緊急症
大動脈弁狭窄症

解答: c

106A31の解説

高齢男性の3時間前から持続する胸痛と冷汗。来院時の心電図ではI、V3~V6でSTの低下を認め、aVLではT波の陰転化を認める。高齢、脂質異常症と喫煙歴といった冠血管リスクを有していることと合わせ、急性冠症候群を疑う。
a 急性心膜炎であれば広範なST上昇と先行する感冒症状がみられるはずである。
b 肥大型心筋症であれば胸痛は認めないし、心電図にて左室肥大所見(左室高電位やST変化)を認める。
c 正しい。上記の通り。
d 高血圧緊急症は血圧の異常高値に伴い様々な臓器障害を呈する症候群である。来院時血圧は162/98mmHgであり、異常高値とは言えない。
e 重症大動脈弁狭窄症であれば心拍出量の低下により冠血流も低下し狭心症症状を呈するが、それほど重症であれば1か月前の検診でも心電図変化がみられるはずである。

正答率:92%

テーマ:急性冠症候群〈ACS〉の診断

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