106D40

72歳の男性。1週前から続く両下肢の冷感と痛みとを主訴に来院した。1か月前に不安定狭心症に対する冠動脈ステント留置術を受けた。15年前から糖尿病と高血圧症とで治療中である。喫煙は15本/日を50年間。体温36.6℃。脈拍84/分、整。血圧140/88mmHg。呼吸数18/分。両下腿に網状皮斑を認める。足趾にチアノーゼを認める。尿所見:蛋白(-)、潜血(±)。血液所見:赤血球380万、Hb 11.8g/dL、Ht 35%、白血球6,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球60%、好酸球15%、単球5%、リンパ球15%)、血小板26万。血液生化学所見:アルブミン4.0g/dL、尿素窒素42mg/dL、クレアチニン3.0mg/dL(冠動脈ステント留置術前:1.2mg/dL)。免疫学所見:CRP 1.5mg/dL。リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体陰性。CH50 19U/mL(基準30~40)。下腿の皮膚生検のH-E染色標本を別に示す。
診断として考えられるのはどれか。
Buerger病
ANCA関連血管炎
コレステロール塞栓症
全身性エリテマトーデス
Schönlein-Henoch紫斑病

解答: c

106D40の解説

冠動脈ステント留置術後の両下肢の冷感や痛みが主訴である。両下腿に網状皮斑や足趾のチアノーゼを認め、好酸球の増加とCH50(補体)の低下からコレステロール塞栓症を疑う。皮膚生検では動脈の内腔中心部にコレステリン結晶を認め、周囲に細胞浸潤も認めることからも動脈閉塞が示唆でき、コレステロール塞栓症の診断となる。
a 喫煙歴からは想起されるが、間欠性跛行もなく、本症例の血液所見や皮膚生検所見を説明できない。
b ANCA関連血管炎であれば潜血は強陽性となるはずである。
c 正しい。上記の通り。
d 全身性エリテマトーデスでも皮疹や補体低下をみることがあるが、本患者では汎血球減少や抗核抗体を認めておらず、否定的。
e Schönlein-Henoch紫斑病は小児に好発する。上気道への先行感染がみられ、紫斑などの皮膚症状がみられる。

正答率:83%

テーマ:コレステロール塞栓症の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし