106B49

次の文を読み、49~51の問いに答えよ。
63歳の男性。発熱と腹痛とを主訴に来院した。
現病歴:昨日から38℃台の発熱と腹部全体の痛みとがある。痛みは持続的で、下痢と嘔吐とはない。家族の話では、いつもと比べて何となくぼんやりしているという。
既往歴:53歳時にC型肝炎を、60歳時に肝硬変を指摘された。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が脳梗塞のため84歳で死亡。
現 症:意識レベルはJCS I-2。体温38.1℃。脈拍96/分、整。血圧106/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し、打診では仰臥位から左側臥位への体位変換で濁音境界が移動する。腹部全体に軽度の圧痛を認める。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球295万、Hb 9.2g/dL、Ht 27%、白血球4,200、血小板4.3万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン2.6g/dL、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 94U/L、ALT 64U/L、ALP 230U/L(基準115~359)、アンモニア73μg/dL(基準18~48)。腹部超音波検査で肝臓に腫瘤を認めない。
認められる可能性がある身体所見はどれか。3つ選べ
手掌紅斑
下腿浮腫
Osler結節
頸静脈の虚脱
アステレキシス

解答: a,b,e

106B49の解説

発熱と腹痛を主訴に来院した53歳男性。C型肝炎からの肝硬変を指摘されている。血液検査ではアルブミンや血小板の低値、肝酵素やアンモニアの上昇から肝不全に伴う肝性脳症が示唆される。発熱、腹痛を認めており、肝硬変に合併した特発性細菌性腹膜炎を考える。
a 正しい。肝硬変に伴いエストロゲンが過剰になることで起こる。エストロゲン過剰が関与する他の徴候として、くも状血管腫や女性化乳房も覚えておきたい。
b 正しい。低アルブミン血症により血管内浸透圧が低下することで起こる。
c Osler結節は感染性心内膜炎の所見である。
d 頚静脈の虚脱は脱水を示唆する所見である。尿素窒素/クレアチニン比は上昇しておらず脱水は考えにくい。
e 正しい。アステレキシスとは羽ばたき振戦のことである。

正答率:93%

テーマ:【長文1/3】肝硬変〈LC〉患者に合併した肝性脳症と特発性細菌性腹膜炎の身体所見

フォーラムへ投稿

関連トピック