106A52

70歳の女性。しばしば転ぶようになったことを主訴に来院した。1年前から、椅子から立ち上がったり車の後部座席から降りたりする際に尻もちをつくようになり、次第にその頻度が増加した。1か月前からしばしばむせるようになった。意識は清明。眼球運動は上下方向が制限されており、特に下方視で制限が著しい。入院後の患者の写真を別に示す。
この疾患で認められるのはどれか。
静止時振戦
腱反射の消失
線維束性収縮
頸筋の筋緊張亢進
筋緊張の著明な左右差

解答: d

106A52の解説

椅子からの立ち上がりや車の後部座席の際に尻もちというエピソードは姿勢反射障害、つまりParkinsonismを意味する。上下眼球運動障害と合わせると、進行性核上性麻痺〈PSP〉を疑う。
a 理由は不明だが、PSPでは静止時振戦はまれである。
b・c PSPでは末梢神経は正常のため、腱反射は減弱しない。同様に線維束攣縮もみられない。
d 正しい。本疾患では頸部の筋緊張が亢進する。
e 筋緊張の著明な左右差はパーキンソン病でみられる。

正答率:81%

テーマ:進行性核上性麻痺〈PSP〉で認める所見

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