106A46

52歳の男性。血便を主訴に来院した。1か月前から便に少量の血液が付着していることに気付いていた。徐々に血液の量が増加し改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。大腸内視鏡検査で肛門縁から10cm口側に2型の全周性腫瘍を認める。胸腹部・骨盤部造影CTで、リンパ節転移、肝転移および肺転移を認めない。注腸造影写真を別に示す。
選択すべき術式として適切なのはどれか。
直腸切断術
Hartmann手術
高位前方切除術
低位前方切除術
経肛門的腫瘍摘除術

解答: d

106A46の解説

血便を主訴に来院した52歳男性。直腸癌の診断で、その術式を選ぶ問題である。「肛門縁から10cm口側」と病変部位の記載が本文中にあり、注腸造影写真と合わせ、上部直腸〈Ra〉癌と考えられる。
a 直腸切断術〈Miles術〉は肛門挙筋や肛門括約節の温存が困難な肛門に近い癌の際に適応となる。本症例は肛門縁から10cm口側の病変のため、肛門括約筋の温存は可能である。
b 人工肛門造設術〈Hartmann術〉とは肛門を残存させ直腸を切除し、口側断端の結腸に人工肛門を増設する術式である。根治切除が困難な場合の姑息術である。
c 直腸S状部〈Rs〉癌において適応となる術式である。
d 正しい。一般的に肛門括約筋を温存するためには、腫瘍の下縁と肛門縁との距離が少なくとも7~8cm以上必要である。肛門縁から10cm口側の病変である本症例では可能な術式である。
e 腫瘍が小さく早期の場合に適応となる。本症例は全周性であり適応とならない。

正答率:71%

テーマ:直腸癌への術式

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