105I71

34歳の女性。右手のしびれ感を主訴に来院した。2か月前から右手のしびれ感が断続的に続いていた。脈拍68/分、整。血圧120/68mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。頸椎に異常を認めない。右上腕二頭筋反射と腕橈骨筋反射とに異常を認めない。握力は両側上肢とも正常範囲内である。右手関節を屈曲するとしびれ感が増強する。触覚低下を認める領域を斜線で表した図を示す。
この患者の初期治療として適切なのはどれか。2つ選べ
肘関節の装具固定
手関節の装具固定
シクロスポリンの内服
副腎皮質ステロイドの局所注射
屈筋支帯の切離

解答: b,d

105I71の解説

しびれの原因となる障害部位は主に4つ、脳、脊髄、神経根、末梢神経である。しびれ以外の全身の症状がなく、反射や握力が正常なので末梢神経障害が原因だと考えられる。さらに、母指側の環指が半分だけ触覚低下していることから正中神経麻痺であることも分かる。正中神経麻痺から手根管症候群を想起できれば回答は可能である。手関節の屈曲でしびれ感が増強する状態はPhalenテスト陽性である。
a 原因は手関節であるので肘関節の固定は意味がない。尺骨神経麻痺が生じる肘部管症候群では肘関節の安静が治療となる。
b 正しい。軽症例では安静が基本である。
c 免疫抑制剤である。
d 正しい。手根管に直接注入する。
e 重症例であれば、正しい。神経圧迫のもととなっている屈筋支帯を切離することで圧迫を解除する。本問では初期治療について求められているため、不適切。

正答率:65%

テーマ:手根管症候群の初期治療

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