105I59

79歳の男性。急激に生じた胸痛と嘔吐のため搬入された。救急隊接触時の血圧は80/56mmHgであった。高血圧症で治療中である。来院時、胸痛は軽快しており、意識は清明。脈拍72/分、整。血圧184/96mmHg。頸静脈の怒張はなく、全身状態は安定している。血液生化学所見と心電図とに明らかな異常を認めない。胸部造影CT(A、B)を別に示す。
まず行うべき治療はどれか。
降圧療法
緊急手術
冠動脈形成術
抗血小板薬投与
心嚢ドレナージ

解答: a

105I59の解説

胸痛と嘔吐を主訴とする79歳男性。胸部造影CT(A)では上行大動脈周囲に低吸収域を認め、上行大動脈解離で偽腔が血栓により閉塞した状態であろう。造影CT(B)では心嚢液貯留を認め、上行大動脈解離による心タンポナーデ来したと考えられる。救急隊到着時はショックバイタルであったが現時点では血圧高値を示している。
a 正しい。高血圧により解離が増悪する可能性があるため速やかに降圧療法を始める。
b 緊急手術は必要だが、手術に至るまでにまずは降圧を行うべきである。
c 虚血性心疾患に対する治療法である。
d 大動脈解離に対して抗血小板薬を投与すると出血や解離を助長させるため禁忌である。また、これから緊急手術を行うため出血コントロールを悪化させる。
e 現時点で血圧が上がっていることから心タンポナーデは改善していると考える。心嚢ドレナージは不要である。

正答率:52%

テーマ:大動脈解離の治療

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