105I56

68歳の男性。排尿困難と頻尿とを主訴に来院した。1か月前から尿意切迫感と夜間頻尿とを認めた。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長164cm、体重64kg。脈拍68/分、整。血圧128/82mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で表面平滑で腫大した弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。PSA 1.6ng/mL(基準4.0以下)。国際前立腺症状スコア14点(軽症0~7点、中等症8~19点、重症20~35点)。残尿量30mL。腹部超音波写真(A)と尿流測定の結果(B)とを別に示す。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
α1遮断薬投与
抗男性ホルモン療法
前立腺生検
経尿道的前立腺切除術

解答: b

105I56の解説

高齢男性の排尿困難、頻尿、尿意切迫感で前立腺の腫大が確認されるため前立腺肥大症である。
a 症状がなく国際前立腺症状スコアが低い場合には経過観察でよいが本症例は中等度であるため何らかの治療が必要である。
b 正しい。前立腺の平滑筋の収縮を阻害することで尿道狭窄を緩和する。前立腺肥大症では、程度にかかわらず自覚症状(排尿障害)があれば薬物治療を開始する。α1遮断薬は第一選択である。
c 前立腺肥大症の原因は男性ホルモンであるため抗男性ホルモン剤が用いられることもあるが、効果が出るまで時間を要し、副作用も強いためあまり用いられない。浸潤のある前立腺癌ではホルモン療法として用いられる。
d 前立腺の硬結はなく、PSA値も低値のため前立腺癌は疑われない。
e 重症例や薬物抵抗例では手術が考えられるが、本症例は初発例でありまずは薬物療法が第一選択となる。

正答率:91%

テーマ:前立腺肥大症〈BPH〉の治療

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