105I41

12歳の男児。右肘部痛を主訴に来院した。8歳から野球のリトルリーグに所属し、1日4時間の投球練習を毎日行ってきた。6か月前からボールを投げるときに右肘部の痛みを自覚し、2か月前から増悪してきた。身長167cm、体重64kg。右肘関節外側に軽度の圧痛を認める。関節可動域は屈曲125度、伸展0度である。屈曲伸展運動でひっかかる感じがある。右肘関節エックス線写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
骨軟骨腫
疲労骨折
慢性骨髄炎
上腕骨外顆骨折
離断性骨軟骨炎

解答: e

105I41の解説

「1日4時間の投球練習」という同じ部位に繰り返しの負荷がかかる動作を認め、屈曲伸展運動時のひっかかり、つまりlockingを自覚している。受傷起点からも離断性骨軟骨炎(いわゆる野球肘)が疑われ、エックス線写真でほぼ確定となる(本症例の撮影方向は上腕骨小頭の骨軟骨炎を狙った角度である)。
a 頻度の高い良性の骨腫瘍である。エックス線写真では通常の皮質骨から飛び出すような形で確認でき、本問の画像とは合致しない。スポーツとの関連は特にない。
b 疲労骨折は初期ではエックス線写真では変化が認められないことが多い。時間経過とともに骨膜反応が見られる。本問の画像とは合致しない。
c エックス線写真で壊死した骨が確認される。また、周辺の皮膚も炎症を起こし腫脹・発赤・熱感を伴う。瘻孔が存在することも多い。スポーツとは特に関連がない。
d 上腕骨顆上骨折と同様小児に多く、転倒時に肘を伸展して手をついた際に生じる。受傷起点からもエックス線写真からも否定的。
e 正しい。写真左側の上腕骨小頭に遊離体を認める。スポーツを中止し安静とする必要がある。

正答率:84%

テーマ:離断性骨軟骨炎の診断

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