105G53

6歳の女児。身長が伸びないことを心配した母親に伴われて来院した。35週1日、2,450gで頭位自然分娩で出生した。新生児仮死はなかった。精神運動発達は順調であったが、ここ1年間身長がほとんど伸びておらず、1か月前からは元気がなく、食欲も低下しているという。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識は清明だが、活気がない。身長107cm(-1.2SD)、体重18.2kg(-0.6SD)。体温36.0℃。脈拍64/分、整。血圧100/74mmHg。身体診察所見では、バランスのとれた体つきで、頭頸部に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を2cm触知する。脾を触知しない。腫瘤を触知しない。成長曲線を別に示す。
診断のために有用な検査はどれか。2つ選べ
血清LH・FSH
甲状腺機能検査
染色体検査
大腿骨エックス線撮影
頭部MRI

解答: b,e

105G53の解説

1年間身長がほとんど伸びておらず、1か月前からは元気がなく、食欲も低下している6歳の女児である。成長曲線ではある時期より急に身長が伸びなくなっており、内分泌性の低身長を考える。
a 血清LH・FSH測定は思春期早発を考えた場合に考慮する。
b・e 正しい。内分泌性を考えた場合、成長ホルモン値や甲状腺ホルモン値測定、頭部MRI検査が有用。
c 染色体検査は生後早期より低身長である場合に行う。
d 身体診察所見ではバランスのとれた体つきで頭頸部に異常を認めないことから、クレチン症などは考えにくく、大腿骨エックス線撮影は有用ではない。むろん、クレチン症以外の甲状腺機能低下症もこの世には存在するため、bと区別されたい。クレチン症ではないが、甲状腺機能低下症は否定できない、ということだ。

正答率:56%

テーマ:低身長女児の鑑別診断

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