105D37

53歳の女性。3日前からの発熱を主訴に来院した。2週前から空咳と労作時の息切れとを自覚していた。6か月前から関節リウマチの診断で抗リウマチ薬と副腎皮質ステロイドとを服用し、症状は安定している。胸部エックス線写真で異常を指摘されたことはない。意識は清明。体温38.4℃。呼吸数24/分。脈拍96/分、整。血圧122/78mmHg。両側肺野にfine cracklesを聴取する。白血球8,600(桿状核好中球2%、分葉核好中球74%、好酸球3%、単球5%、リンパ球16%)。LD 450U/L(基準176~353)。免疫学所見:CRP 11.8mg/dL、β-D-グルカン6pg/mL(基準10以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.40、PaCO2 35Torr、PaO2 76Torr、HCO3 20.9mEq/L。受診時の胸部エックス線写真で両側肺野にびまん性すりガラス陰影を認める。胸部単純CTを別に示す。気管支肺胞洗浄液の細胞診にて核内封入体を認める。
治療方針として適切なのはどれか。
副腎皮質ステロイドの増量
ガンシクロビルの投与
抗TNF-α抗体の投与
免疫抑制薬の投与
ST合剤の投与

解答: b

105D37の解説

発熱を主訴に来院した53歳女性。労作時息切れを認め、fine cracklesを聴取し、胸部単純CTでは小粒状影とすりガラス様陰影を認めることから間質性肺炎を考える。細胞診で核内封入体を認めることからサイトメガロウイルス感染症の診断となる。本症例では、抗リウマチ薬(一部の免疫抑制薬を含む)と副腎皮質ステロイドを使用していることから免疫力が低下し、易感染状態であると考えられる。
a・c・d 全て免疫力を低下させる作用をもつ。感染の増悪をきたしかねない。
b 正しい。ガンシクロビルはサイトメガロウイルス感染症に有効な抗ウイルス薬である。
e ST合剤はニューモシスチス肺炎の治療薬である。

正答率:83%

テーマ:サイトメガロウイルス肺炎の治療

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