105A59

35歳の男性。2週前からの悪寒、発熱および下痢を主訴に来院した。6か月前と2か月前とに発熱を伴う気管支炎を発症し、自宅近くの診療所にて抗菌薬投与を受け1週間程度で軽快した。体重が6か月で10kg減少した。8年前に海外渡航歴がある。意識は清明。身長168cm、体重50kg。皮膚、口唇および口腔粘膜は乾燥し、舌と口腔粘膜に白苔を広汎に認める。腹部は平坦で、全体に軽度の圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。血液所見:赤血球560万、Hb 16.0g/dL、Ht 48%、白血球12,200(好中球77%、好酸球5%、好塩基球1%、単球12%、リンパ球5%)、血小板34万。CRP 12.3mg/dL。
初期の対応として適切なのはどれか。3つ選べ
輸液
抗菌薬投与
抗真菌薬投与
抗HIV薬投与
無菌室への入室

解答: a,b,c

105A59の解説

悪寒、発熱と下痢を主訴に来院した35歳男性。頻回の気道感染と体重減少を認める。舌と口腔粘膜の白苔は口腔カンジダであろう。免疫力が低下していることが伺え、8年前の海外渡航歴からHIV感染症を考える。
a 正しい。口腔内は乾燥しており脱水状態であるため補液を行う。
b 正しい。主訴の発熱、下痢に加え、血液検査では白血球(好中球)とCRPの上昇を認めることから細菌感染を疑う。
c 正しい。上記のとおり真菌感染を疑う。
d 上記の通りHIV感染を疑うが、抗HIV薬投与は確定診断を行ってから投与を検討するため、まず行うべきものではない。
e 免疫力は低下しているが、好中球数は低下しておらず無菌室への入室は必要ない。
110A58と同一問題。

正答率:69%

テーマ:後天性免疫不全症候群〈AIDS〉患者への初期対応

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