105I65

50歳の男性。四肢の脱力を主訴に来院した。10日前に微熱と咽頭痛とが出現したが2日間で消失した。3日前に手先と足先のしびれ感が出現し、翌朝には両下肢の脱力、午後には両上肢の脱力が出現して、今朝は歩行が困難となった。10年前に強い頸椎症性変化を指摘された。3年前に房室ブロックのため心臓ペースメーカー植え込み術を受けた。意識は清明。四肢に中等度の脱力がみられる。腱反射は消失している。四肢遠位部の軽度の感覚低下を認める。
診断のために有用な検査はどれか。
頸部単純CT
頸椎MRI
針筋電図
神経伝導検査
腓腹神経生検

解答: d

105I65の解説

問題を解く前にまずは心臓ペースメーカー植え込み術の既往をチェック。選択肢bにすぐ禁忌肢マークをつけておこう。
症例は中年男性の四肢脱力。前駆する感染からの下肢スタート、上行性麻痺でありGuillain-Barré症候群〈GBS〉の診断は容易だ。下位運動ニューロン症状やglove and stocking型感覚障害がみられていることも合致する。頸椎症であれば上位運動ニューロン症状が出現するはずであり、今回の既往はフェイクであろう。
a・b 頸椎症を疑った際に有効。上記の通り、bは禁忌。
c 針筋電図でも末梢神経障害の判定は可能であるが、診断に最も有用なのはdである。机上で考えて合致したとしても、臨床の場で実際に行われていなければそれは正解とはならない。
d 正しい。神経伝導速度が低下していることを証明することが診断に最も有用。
e 神経生検は侵襲の強い手技であり、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〈CIDP〉を疑った際に行う。GBSでは一般に行わない。

正答率:74%

テーマ:Guillain-Barré症候群〈GBS〉の検査

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