105I44

59歳の男性。人間ドックで右腎の腫瘤を指摘され来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長166cm、体重61kg。体温36.2℃。呼吸数12/分。脈拍64/分、整。血圧128/78mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血1+。血液所見:赤血球507万、Hb 15.5g/dL、Ht 44%、白血球7,000、血小板21万。血液生化学所見:血糖98mg/dL、総蛋白7.5g/dL、アルブミン4.3g/dL、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸6.8mg/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 19U/L、ALT 16U/L、LD 195U/L(基準176~353)、ALP 249U/L(基準115~359)、Na 140mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.3mg/dL。CRP 0.1mg/dL。腹部超音波検査で右腎に長径5cmの占拠性病変を認める。胸腹部単純CTで腎以外に明らかな異常を認めない。骨シンチグラフィに明らかな異常を認めない。腹部造影CTを別に示す。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
分子標的薬投与
根治的右腎摘除術
経皮的右腎動脈塞栓術
インターフェロンα投与

解答: c

105I44の解説

異常所見はエコーと血尿のみであるが、造影CTは動脈相で内部不均一に強く造影されており、腎細胞癌を強く疑う所見である。
a 良性腫瘍であれば経過観察でよい場合もあるが、本症例はCTで悪性所見と分かる。
b 転移があったり周囲組織への浸潤で摘出が困難な場合は分子標的薬を用いるが、本症例では転移もなく無症状で人間ドック見つかった腫瘍であり、手術可能と考えられる。
c 正しい。根治手術としての腎摘除術が適切である。この場合、副腎も同時に摘出されることもある。
d 以前は手術前に出血量減少のために行われていたこともあるが、現在ではあまり行われない。それ自体の治療効果はあまりない。
e b同様、手術不能例に行われる治療である。

正答率:92%

テーマ:腎細胞癌〈RCC〉への対応

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