105G40

74歳の男性。2時間前から持続している胸痛を主訴に救急外来を受診した。糖尿病で通院中。脈拍 124/分、整。血圧114/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。来院時の緊急検査で赤血球440万、Hb 14.0g/dL、Ht 46%、白血球8,200、CK 86U/L(基準30~140)、心筋トロポニンT 0.2ng/mL(基準0.1以下)、CRP 0.1mg/dL。来院時の心電図を別に示す。
この患者に対する治療方針の決定にあたって必要がないのはどれか。
心エコー検査
胸部エックス線撮影
心電図モニタリング
12誘導心電図の再検査
血液生化学検査の再検査

解答: d

105G40の解説

胸痛を主訴に来院した74歳男性。心筋トロポニンT陽性、心電図にてII, III, aVFのST上昇より急性心筋梗塞を疑う所見である。胸痛が持続しており緊急カテーテル検査を行う。
a 心筋梗塞が疑われ、心エコーにて壁運動低下部位から責任病変を推定する。また、鑑別として急性心筋炎や急性心外膜炎も挙げられ、心筋炎であれば心筋の浮腫や壁運動異常(びまん性に低下する)を、心膜炎であれば心膜液貯留を認める。
b 心筋梗塞や心筋炎に伴う心不全の有無や、縦隔拡大の有無により大動脈解離の可能性を評価する。
c 心筋梗塞や心筋炎であればいつ心室頻拍、心室細動など致死的な不整脈が出現してもおかしくないため必ずモニタリングを行う。
d 誤り。経時変化をみるために12誘導心電図の再検査は必ず行うが、カテーテル検査を行い必要であれば冠動脈形成術を引き続き行うという治療方針は変わらない。
e 来院時にはCKの上昇はないが今後上昇してくることが予想され、その推移をみることは梗塞範囲の大きさをある程度推定し、その後のリハビリテーションに関わるため重要である。

正答率:50%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉の検査

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